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多言語で生きよう:コミュニティ、学校、家庭でのバイリンガル教育

バイリンガル教育は、日本では英語教育と考えられることが多いのですがそれは一面を捉えているに過ぎません。バイリンガル教育とは、本質的には「二つ以上の言語を理解するための教育」と言っていいでしょう。

例えば、私の名前は藤田ラウンドです。藤田は日本人母、Roundはイギリス人父の国際結婚の我が家では、お母さん(日本語)、お父さん(英語)がそれぞれの自分の母語(mother tongue)を子どもに使い、育てました。青年になった二人の子どもたちは、二つの言語を話せるようになりました。しかし、これは「話しことば」、つまり、家庭の中でのコミュニケーションのことばなので、学力を上げるために二つの言語を親が使って子どもを育てているのではありません。それぞれ日本とイギリスにいる祖父母や親戚のいとこたちとコミュニケーションをとるための二言語教育、家庭内でのこのような取り組みもバイリンガル教育です。

私の家庭は日本語と英語の組み合わせとなりましたが、日本国内にいる国際結婚家庭の二つの言語の組み合わせは日本語と英語は少数派です。英語だけではなく、アジアの諸言語の組み合わせが一番多いはずです。こうしたグローバリゼーションの中にある、21世紀現在、私たちは一つだけの言語で生活ができないというのが現状ではないでしょうか。日本語の中にも外来語が入り込み、また、社会の中での英語の重要性だけが際立ち、一人の人の学歴や就職にも関わってくると言えます。

このウェブサイトでは、広く、複数言語を身につけることはどのような意味を個人にもたらし、また、言語と社会との関係性を考える社会言語学の視点で調査研究をしてきた、藤田ラウンドの研究を見やすく案内したページです。特に、2012年から沖縄県宮古島市で、消滅危機言語と名指される宮古語と日本語のバイリンガリズムの研究をしながら、映像記録をとり、言語と生活文化をさまざまな形で捉えてきた私の研究をご紹介したいと考えました。

人の一生の間の「いつ」の段階で「どのような状況下」でバイリンガルになるかというのは一人ひとり異なります。しかし、だからこそ、相手に対する理解を深める「異文化コミュニケーション」のような技能や歴史に対する認識なども、これからはマルチリテラシーとして求められると考えられます。そうしたことも、折に触れて発信していくことにします。

映像のアーカイブや宮古語や宮古島の先人の知恵に関わるリソースは科学研究費によって研究を行う中でその成果として制作しました。この成果を教材やリソースとして使っていただいて構いませんが、どのような形で使われたかを一言、ご報告いただけますと、今後のリソース制作に役立ちますので、ご一報、お願いします。

藤田ラウンド幸世